こんな少年少女いない宮部みゆき5選*夏の100冊(4)
「る印 夏の100冊」第4回は、ミステリーの第一人者、宮部みゆきです。現代物・時代物・ファンタジーと幅広く、そのすべてがハズレ無しの作家です。
今回は、私が好きな現代物の中から、少年少女が活躍する作品5つをご紹介します。
こんな子どもいないよって思わず心の中でつぶやくような、いそうでいない理想的な「あらまほしい」少年少女が登場します。ある意味リアルではないけれど、みんなとても魅力的です。
「る印 夏の100冊」とは、私が好きな本をご紹介する不定期企画です。詳しくは第1回を参照。
ドラマ化されました。上川隆也はよかったけれど、やっぱり双子は小学生ではなく、中学生の設定がいいと思います。元々は特に子ども向けではないと思うので、大人も十分楽しめます。
画像は、左が講談社文庫で、右が講談社青い鳥文庫です。右はより子ども向けに、『屋根から落ちてきたお父さん』というサブタイトルがついていて、ふりがなもあります。それにしても双子の顔が幼すぎる表紙が不満です。
『今夜は眠れない』『夢にも思わない』
少年少女向けを意識してか、昔のと違って、表紙が淡い色彩のイラストに変わりました。
主人公と親友の中学男子のやりとりが、いかにも宮部節。間違いなくミステリーですが、あくまで軽いタッチで進んでいくので、重たいどろどろした感じが苦手な方でも大丈夫です。とはいえ、続編の『夢にも』は殺人事件が発生します。
『刑事の子 (光文社文庫プレミアム)』 ※なぜか表紙が貼れない・汗
初期作品『東京下町殺人暮色 (光文社文庫)』を中学生向けに新装・改題。私も「わあい新刊だ!」と飛びつきそうになったので、ご注意ください。
凄惨な殺人事件の話ですが、少年と家政婦さんのコンビは、ほのぼのしていて救われます。「下町」「まっすぐな少年」「年の功の年配者」など、作者の得意な要素がすでに出てきていますね。
『小暮写眞館』
ひょんなことから「心霊写真探偵」になる高校生・英一が主人公。
私は、ファンタジーやオカルトよりは、リアルな話の方が好きです。でも同じような方でも、「心霊」部分はあまり気にせず、生きている人間、家族についての話として読めると思います。
表紙写真のような、希望が持てる明るいさわやかな読後が待っています。
『ソロモンの偽証』
文庫で全6巻の大長編ミステリーです。最近映画化され、映画でも前後2作の大ボリュームです。
次々に事件が起こり、それに対する子どもと大人それぞれの、思いや思惑が丹念に描かれます。長いストーリーが一切中だるみせず、奥へ奥へ読者を引っ張って行く力量は、お見事の一言。ああまだ終わらないで・・と読書の楽しさにひたれます。
以上、「る印 夏の100冊」第4回は、少年少女が活躍する宮部みゆき作品5選でした。
ではまた。第5回をお楽しみに。