『あさき』ほか源氏物語関連5選*夏の100冊(10)
「る印 夏の100冊」第10回は、古典『源氏物語』に関連した作品5つです。第9回でご紹介したように、私は歴史物の中でも平安時代が好きなのですが、特に好きな作品が『源氏物語』です。
『源氏』の現代語訳は、与謝野訳、円地訳、田辺訳、橋本訳、瀬戸内訳を読みました(谷崎訳はすぐ挫折)。千年前の遠い世界でありながら、現代にも通じる人間の複雑な感情を描いています。何度読んでも新しい発見があり、いろいろな読み方ができます。
「る印 夏の100冊」とは、私が好きな本をご紹介する不定期企画です。詳しくは第1回を参照。
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『源氏』を完全マンガ化した、全中高生の必読図書です! 繊細で美しい絵で、平安時代・『源氏』を目で見て分かる世界にしてくれた、作者の功績は計りしれません。創作部分もあるとはいえ、原典にかなり忠実に描いています。
古文の参考書として、源氏入門書として、いち恋愛少女マンガとして、素晴らしい作品です。
現代語訳の中で一番わかりやすく、一気に読めます。とにかく一度全部通して読みたい、という方におすすめです。忠実な訳ではなく、田辺流にすっかり消化された新しい物語となっています。
この作品は光源氏が主人公の正編で完結していますが、続編の『霧ふかき宇治の恋―新源氏物語〈上〉 (新潮文庫) 』『同下』もあります。
『源氏』の魅力をかみくだいて伝える解説本です。
たしか中学生の頃、新聞連載中に楽しみに読んでいました。(挿画の横尾忠則のコラージュも好きでした。)与謝野源氏を、とばしとばし一応読了した頃で、毎週紙面で読んでは「こういうふうに読めるのか」とまたその箇所に戻って読む・・という感じでした。
『源氏』の世界はブスばっかり。人物の外見分析から展開する、独特な視点の源氏物語論です。
作者には他にもいろいろな切り口で『源氏』を取り上げた著書があり、 『源氏』の現代語訳も行っています。
『源氏』きっての敵役、弘徽殿女御をメインに据えた小説。うっとうしい古女房ではなく、生き生きとして真っ当な感覚の弘徽殿が本当に魅力的です。
ただし、現代と平安時代をつなぐ狂言回しがなんだかしっくりこず、そこだけは残念です。これからも『源氏』の世界で遊ぶような作品が、もっと出てくるとうれしいです。
以上、「る印 夏の100冊」第10回は、源氏物語に関連した作品5選でした。
では、また。第11回をお楽しみに。
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