『陰陽師』ほか平安時代関連5選*夏の100冊(9)
「る印 夏の100冊」第9回は、平安時代に関連した作品5つです。中高生にとっては、日本史はもちろん、古文の理解にも欠かせない時代です。
第6回でもご紹介したように私は歴史物が好きで、特に日本の平安時代が大好きです。王朝ロマンのきらびやかさとオカルト的な闇といった、千年前のかけ離れた世界。普遍的な人間心理と季節の感受性といった、現代日本へのつながり。両方に引きつけられるのでしょう。
「る印 夏の100冊」とは、私が好きな本をご紹介する不定期企画です。詳しくは第1回を参照。
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全13巻が完結し、続編の『陰陽師 玉手匣』が刊行中。小説『陰陽師』が原作の少女マンガですが、原作付き作品の枠も、少女マンガの枠も、はるかに飛び越えた唯一無二の作品です。
前半は原作に沿って、コンビでのあやかし退治・謎解きが主です。後半は原作からどんどん離れて、どんどん理解が難しくなっていき、正直11巻以降は何のことやら。それでも絵巻のような美麗さにうっとりです。
25年前に開始し、現在も断続的に続いている小説シリーズ。作者本人が「マンガ版は原作を超えた」と発言していますが、いえいえ、どちらも本当に素晴らしいです。
博雅を晴明の相棒に持ってきて、ホームズ&ワトソン形式にしたのがナイス。二人が淡々と酒を飲むシーンは、何回出てきてもしみじみとした味わいです。
『ざ・ちぇんじ!』氷室冴子
私が読んだのは旧版の文庫本上下巻でしたが、現在は『月の輝く夜に/ざ・ちぇんじ! (コバルト文庫) 』に収録されています。
若君として育てられた女の子と、姫として育てられた男の子、きょうだいが入れ替わって・・といかにもライトノベルっぽい設定ですが、古典『とりかへばや物語』がベースです。ストーリーは作者の自由な創作で引き込まれます。
平安貴族のお姫さまが、現代女子をも上回る破天荒さで暴れまわる、時代ものラノベのシリーズ。主人公の瑠璃姫はもちろんですが、没落宮家で超リアリストの煌姫が好きでした。
当時の社会、身分制、習慣、結婚観など時代背景がすらっと入ってきて、ストーリーは現代的な感覚でしっかり楽しめて、最初に出会う平安期作品としておすすめです。
四半世紀前のギャル語訳『枕草子』です(今読んだら、もしかしたらもう「現代」語訳ではないのでしょうか)。この本を最初に読んだ時、そういうことが書いてあったのか! と初めて分かったような衝撃がありました。
イラストは『笑う出産―やっぱり産むのはおもしろい 』のまついなつきです。
以上、「る印 夏の100冊」第9回は、平安時代に関連した作品5選でした。
では、また。第10回をお楽しみに。
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